うわぁ〜っと満開になったかと思うと、先週末の雨でハラハラと舞っていった桜。
胴ぶきの桜、という存在とその言葉を知ったのが今年の収穫。
また過去に観た舞台の感想を少しずつアップしていきたいと思います。
まずは、2月に観たこの作品。
『スタンド・バイ・ユー〜家庭内再婚〜』
脚本:岡田惠和 演出:堤幸彦
出演: ミムラ、戸次重幸、真飛聖、勝村政信、モト冬樹、広岡由里子、馬場良馬
音楽・演奏:荻野清子 美術:松井るみ
日時:2015年2月11日(水・祝) 15時〜
会場:大野城まどかぴあ 大ホール
〜軽妙だけど本当は恐ろしい(?)公開夫婦ゲンカ劇〜
舞台上には大きなリング。格闘技仕様。
四角形の一つの角が正面を向いている。そこを起点とする対角線で二つに割れて形を変えたりもする。
リングのロープには電飾も施されている。
二組の夫婦が貸別荘で休暇を過ごすため車で出かける。
現地で足りないものを調達するために買い出しに出かけたのが、夫婦でない女と男。が、大雪で身動きがとれなくなり彼らはホテルで一晩過ごすことになる。残された方の夫婦でない男と女も別荘で一夜を過ごす。それぞれ、お互いの配偶者の不満をぶつけ合い意気投合してしまうが、さて翌朝はどうなるか‥という辛口コメディ。
基本的にリングはそのままで、その上にソファが置かれたりするのだが、リング自体、違和感なく舞台に溶け込んでいた。
背後にスクリーンもあり映像も映し出されていた。
そしてお話の方だが、こういう筋の場合、結論がどうであっても100%は納得できないのが宿命(?)。喜劇仕立てで、ギャグの応酬に大笑いはした。役者たちのセリフの量がすごくて、演技がヒートアップしていた。
買い出しに出かけて雪に閉じ込められてしまう女と男がミムラと勝村。
二人は常日頃それぞれのパートナーからやり込められている。二人とも下戸。
話しているうちに趣味嗜好が似ていることがわかり盛り上がる。
別荘に残された男と女が戸次と真飛。
こちらもお互いの気弱なパートナーへの不満爆発で、ワイン片手にワイワイ(こちらの二人は酒好き)。おまけに実は彼らは以前つきあっていた中で、昔話に花を咲かせていいかんじに。
ヘタレな夫の言い分をヘタレでありながら延々と主張する勝村政信、その絶妙さに安定感があった。よく通る声がいい。
ミムラは舞台初出演ということだったが、きれいな風貌なのに、直角に頭を下げてペコペコしているちょっとうっとうしい女の人の役でおかしかった。
超・見栄っ張りのバブル男の役・戸次重幸は客席に降りての熱演、目に焼き付いた。
同じく見栄っ張りで強気、ミスコン1位になりたくてしょうがなかった女性の役の真飛聖、「役作りをしなくてもよかったねと言われた」とカーテンコールの時に話していたが、それは冗談としても、ハマって演じていた。
この騒動に別荘の管理人夫婦、モト冬樹と広岡由里子も巻き込まれて別れるの別れないのの話になってしまうのだが、この二人も芸達者、アルバイトの町田君の馬場良馬は身のこなしが軽くてバク転で会場を沸かせていた。
ここにピアノとクラリネットの生演奏も入り、楽しい雰囲気だ。
ただ全体的にみた時に、ちょっと説明し過ぎなところがあるというかんじもあった。
ラストは全員で歌って踊ってとなるが、この部分はもう少し短めでもいいと思った。
「みなまで言うな」という心持ちになってしまったので。
それはともかく役者たちの熱演が楽しめる舞台だった。
ただ「主人とは一緒に見れないわ〜」終演後、ロビーでそんな感想も漏れ聞こえた。確かにそういう意味では一緒に見る相手との人間関係に注意が必要な作品かも。