本も時々読んでいます。
時節柄、こういう本。新書です。
『9回裏無死1塁でバントはするなー野球解説は“ウソだらけ”』 鳥越規央/著 2011年 祥伝社
え、そうなの?バントしてはいけないとは。
野球放送のアナウンサーと解説者だけが頼りの私。(そこのあなたも、もしかしてそう?)
解説者は、たいがいが元・野球選手。だから彼らがのたまうことは、個人によって若干の見解の相違があるとはいえ、おおよそは球界の常識だと思うんですけど。それに異議を唱えているタイトル。
‥といっても、別にケンカを売っているわけじゃなく、「野球のセオリー」と言われているものが本当に合理的なものかどうか、統計学の観点から調べ紹介している本。
でも。
バントはアウトカウントが増えるから損するって考え方ってどこかで聞いたことあるような‥と思っていたら、やはり。
「マネー・ボールー奇跡のチームをつくった男―」(マイケル・ルイス/著 2004年 ランダムハウス講談社)が前書きで紹介されていた。
メジャーリーグ貧乏球団を生まれ変わらせたGM(ゼネラルマネージャー)の話で、その常識破りの戦略、独自の選手評価法に使われていたのが「セイバーメトリクス」(野球統計学)と呼ばれるもの。この「9回裏〜」の本も、その同じ手法を用い、色んな場面での作戦や選手の成績を統計的に洗い出している。
だから、いつもみている試合をちょっと違う風に眺めているかんじ。
統計の式なんてもちろん歯がたたないけれど、そこを飛ばして結果を中心に読んでいっても面白いし、またスポーツのゲームをこれだけ熱心に、科学的に分析、研究している人々が日米に沢山いるということに感心してしまう。
ためしに投手の能力をこの手法で評価した表をみてみる。2010年。うわぁ、ソフトバンク・ホークスの選手が目立つ。打者のランク表では‥ホークスの選手は‥?へぇ〜。という具合につまるところ、そういう読み方になってしまう。贔屓のチームがあるものにとっては致し方なしか。
あの「江夏の21球」も一球ごとに勝敗の確率のパーセンテージが算出されていて、山際淳司のノンフィクションとはかなり趣が違うが、やはりスリリング。
ただ、ノーアウト1塁で本当にバントはNGなのかどうかは、私にはよくわからない。
ノーアウト1塁の時の勝利確率と、犠打で進塁し1アウト2塁の時の勝利確率を比べ、前者から後者へ進むと勝利の確率が下がってしまう。だがらバントは不可ということなんだけど、三振したり、打ちにいってゲッツー、ランナーなし、そんなことよりはましなのでは?そこらへんもデータ上比較してほしい。
ホークスは2011年リーグ優勝までマジック1。(2011.9.30現在)
そして、クライマックス・シリーズ(旧・プレイオフ)が待ち受けている。
短期決戦には煮え湯を飲まされ続けているが、よく言われるようにリーグ戦のデータは短期戦には通用しないんでしょうか。なぜ? そのあたりのことも科学的な切り口で是非お願いしたい。