ちょっと待って プレーオフ ・・・ホークス パ・リーグ優勝 〜その3

〜死んでなかった、お鷹さん‥あとはおまけのPK戦?〜



サッカー日本代表監督でもあるイビチャ・オシム氏は、試合がPK戦にもつれこむと、ピッチから姿を消していた。その様子は一度TV中継で目撃したことがある。緊張の瞬間を前に、“まわれ右”でふら〜り出口に向かって歩いていったのである。ネット検索してみたら‘07年7月21日、アジア・カップのオーストラリア戦だったようだ。 
http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPJAPAN-27005320070723

この記事では、その場を立ち去るのは“PKは心臓に悪いから”ということだが、その他に漏れ聞こえていた彼の“語録”は、ルーレットのようなやり方で試合を決めるのはどうか、とか、PKは運の力が大きい、とかいう言葉。

パ・リーグのクライマックス・シリーズ(旧プレーオフ)の試合を控えた今、PKに批判的だったオシム氏に倣って“まわれ右”。自分の中のもう一人の自分はそんな衝動に駆られる。(オシムさんまで引っ張り出すのは我田引水だけど)


ブラピ主演で映画化が予定されているマイケル・ルイス著の「マネー・ボール〜奇跡のチームをつくった男〜」(2004年 ランダムハウス講談社)は、非・お金持ち球団を斬新な野球理論と経営手腕で躍進させたゼネラル・マネージャー=ビリー・ビーンの話。試合にまつわる数字・データを独自の視点で使いこなす様が鮮やかで野球ファンにはわくわくする一冊だが、彼の逸話で印象に残っているのが自分のチームの試合を見ないということ。特等席が用意されているというのに。代わりに小型機器を手に持ち、衛星から送られてくる試合過程を球場の駐車場をうろつきながらチェックしているとか‥。今だったらケータイ片手にネットをチェックするの図だろうか。
試合を見ない理由は、頭に血がのぼるから。


私は監督でも経営者でもないけれど、好きだ、こういうエピソードは。


2004年と2005年のパ・リーグ公式記録を見てほしい。
2004年は2位のダイエーホークス(現ソフトバンクホークス)が1位の西武ライオンズよりも勝率が上回っている。
2005年は2位のソフトバンクホークスが1位のロッテマリーンズよりこれまた勝率が上。
これは、長いシーズンを1位で乗り切ったホークスが、プレーオフ(現クライマックスシリーズ)という短期戦で敗れたための逆転現象。この時は今と違いレギュラーシーズン1位のチームにはプレーオフの試合で1勝を与えるというアドバンテージもなく。半年間がんばって積み上げたものが一週間そこらで水の泡になる。…ファンにとってはこれはスポーツではなく不条理劇だ。


その後、とにかくシーズン1番のチームがその時点でリーグ優勝と改められたが、そうでしょう。それがまっとうだと思う。


しかし、日本シリーズに出るチームを決めるために、やはりこのシステムを続行させた上に、こういう問題ありの奇妙な制度がセ・リーグまで広がるとは思わなかった。興行面のプラスと消化試合を減らすためという名目とはいえ。こんなルールは一体誰がどこで決めるんだろうう。1シーズンに何回も何回も“天国か地獄か”の剣ヶ峰を人為的に作りファンの興味を引こうと煽るやり方はどうだろう。あざとくないか。たとえて言えば“9回2アウト カウント2ストライク3ボール”なんていうギリギリの場面に何度も出くわすという罠が続くような不自然さ。嫌気がさしてくるのだけれど。


ところでホークス。今日はクライマックスシリーズ・ファインナルステージの第一戦、対ロッテ。

レギュラーシーズン1位のまっとうな胴上げが行なわれたのは2週間あまり前。
前回の優勝から7年、その間どれだけの悔し涙がドームの人工芝に染みついているだろうと思う。

日本の情報が入ってこないような海外に逃亡したいと思った5,6年前とは違い、2010年の今年は、今日からの試合を“付録”または“おまけ”と思い見届けたいという境地。“ながら観戦”レベルのファンでも長くやっていると、それなりの覚悟が必要なのだ。