ホークス パ・リーグ優勝 その2

〜死んだはずだよ、お鷹さん……幸せへの時限爆弾〜


2010年9月26日(日) 
ソフトバンクホークス終戦144試合目。マジック1。対楽天戦。Kスタ宮城でのナイター。18時より。
2位の西武ライオンズはデーゲームで日ハム戦。札幌ドームにて。15時より。

西武が日ハムに負けると、その時点でホークス優勝。ライオンズが勝っても、ホークスが楽天に勝てば、そこで鷹がV。

けど。と、考えたくない、言葉にも出したくない不安がよぎる。西武が勝って、もしホークスが負けでもしたら。西武にはまだあと一試合ある。どうなると?…その場合でもライオンズが引き分けだったら、、、etc. ○×?Φ§☆……もうギリギリ過ぎて数字的にどうなのかわからない、頭に入らない。
地元のメディアも、そういうケースにはもうほとんど触れてない。奇跡のまさかのVへの期待ばかりだ。


しかしこの難局面の中、以前のように仕事中も試合のことが気になり頭だけがふうぅっと球場へ向かい…なんてこともなく過ごす。が、終業とともに心がざわざわし始める。

午後6時半。職場を出る時点での情報は、西武vs.日ハム3−3、ソフトバンクvs.楽天0−0。

帰り道、「野球中継中」の立ち呑みの店や焼き鳥屋さんを外から覗いて様子を窺うという怪しい行為にふらふらしていると、一緒に職場を出た同僚からメール(19時26分)。西武サヨナラ負けでホークス優勝、と知らせてくれた。“私の興味は優勝セールですが”とのことで。(実際の優勝決定時刻は18時45分頃)

ケータイの小さい画面をじっと見つめた。胸のつかえがすぅっとおりて、心も足取りも軽くなる。
まだ信じられないけど、よかった。


福岡ヤフードームパブリックビューイングに行こうかとも迷うが、とりあえず帰る。
自宅待機で、“その時”に備える。もう“時限爆弾”はセットされたのだから。
地上波のテレビでは放送がなかったため、またもラジオをスイッチオン。1-0で負けてます。

日曜夜のお楽しみ『龍馬伝』は予約録画して、あれこれやりながら、そわそわ時々ラジオをチェックをするも、まるで坂道を転がるように点をとられている。6−1で負けてます。
勝って胴上げを見たいものだが、勝っても負けてもその時は刻々と近づいてはきている。

8回終わって8-3。もう今日の試合はみんな諦めムードで、実況席もファンも、心は“その時”に焦点が。


9時15分過ぎに、ゲームはそのまま終わる。
ラジオの前に座り、その瞬間に立ち会う。
「今、秋山監督が、いっか〜い、にか〜い、さんか〜い、…………、ろっか〜い、ここ杜の都仙台で秋山監督が6回、宙に舞いました。」
アナウンサーの声に、まだ残っていた胸のつかえが、またすぅっとおりた。
ほとんど楽天ファンのKスタ宮城も総立ち、と実況は続けて伝える。


そう、これ。
長い長いペナントレースを1番で乗り切ったチームが、“1番”。だから胴上げ。
ホークスのこの瞬間に立ち会いたかった。


ペナントレースお疲れさん、でも、1番から3番までの人は一旦チャラにして、もう1回試合してから優勝を決めようか…(2004年、2005年)っていうのではなくて、これを見たかった。山あり谷ありのマラソンコースを倒れこむようにゴールしたチームが1番。だから優勝。これが正統だし、これが王道だ。

7年ぶりのこの瞬間。


実況席も興奮気味のお祝いムードで、そんな中「クライマックスも日本シリーズも、あとは付録みたいなもんだからね。」ラジオの解説者(藤原満氏)がそう口にした。
そう。本体がなければ、付録は意味がない。


最終試合にゴールになだれ込むとは。間に合ってよかった。立ち会えてよかった。