アート

7月も12日‥ うかうかしていると、山笠シーズンが終わりそう。(博多祇園山笠〜7月1日から15日)

その前に5月に観た舞台の感想↓



『アート』
作:ヤスミナ・レザ 演出:パトリス・ケルブラ 美術:エドゥアール・ローグ
出演:市村正親平田満益岡徹
日時:2015年5月19日(火) 19時〜
場所:福岡市民会館


〜中年仲良し三人組‥フランス男の場合〜


この作品、何年か前に地元の劇団が上演した時に観た。

http://d.hatena.ne.jp/chihiroro77/20090321/1237645977
(7年も前だった)


とてもいい作品だったので、また観てみようと思った。筋の細かいところなど、ああそうだったと思い出しながら楽しく観劇。
そして同じものでも演じる人によって、印象が変わるものだと思った。


マーク、セルジュ、イワンは十数年来のつきあいの親友同士。フランス人。(日本人ではない。念のため)
セルジュが白い背景に白い線が描かれた現代絵画を大枚をはたいて購入したところから話は始まる。
この絵(?)に、本当に価値があるのかどうか、それが諍いの種になり、それぞれ普段気になっていた種々様々なことに飛び火して、大ゲンカになってしまうのだ。


マークは、常に上から目線、航空エンジニア、市村正親。ほっそりした体、よく通る声で演じるのでマークの嫌味さがユーモラスだった。
現代アートが趣味の皮膚科医・セルジュ、益岡徹。以前観た舞台より、今回のセルジュの方が強気だった。マークに負けてなかった。
二人に気圧され気味の、優柔不断でお人好しのイワン、文房具会社勤務、平田満。終盤のつぶやくような独白が印象的だった(長セリフもすごかったけれど、つぶやきの方が余韻が残って私には印象的だった)


会場では、色んなところでくすくす笑いが起こっていた。それぞれで笑うところが違うんだなぁ、とそちらに気をとられると自分が笑うタイミング逃したりも。


今回のこの錚々たる出演者は、16年前の「アート」日本初演時のオリジナルメンバーだそう。

この有名どころの三人のおじさん(失礼!)が、くだらないことで言い争ったり、三人での映画や夕食の約束が台無しになっただの言い募るのは滑稽。

7年前に観た時も思ったのだけれど、フランス人おじさんたちの友情って、日本の女子同士の関係に近いと考えていいのですか?(事情通の方がいらっしゃったら教えてください)

フランス成年男子同士の絆を、日本の成年男子が演じ、日本成年女子(私です)が観て、共感したり、え?と思ったり、あれこれ思い出したり、笑ったり、と、何回転かひねりが入るのは翻訳ものの常か‥。
最後は自分の友情関係を振り返ってしみじみ。

あ、でも観客は成年男子もたくさん。層は幅広めだった。


舞台上は白い壁の部屋。シンプルで洗練されている。
左側にソファがあるくらい。場面によって、後ろの壁に“フランドル絵画”や、イワンのお父さんが描いた絵が現われたりする。


一緒に観に行った友人たちに指摘されて気づいたけれど、役者はマイクを使っていなかった。1775席の規模。(え〜っと、いつもこのホールで観る時は、マイクあったかどうか覚えていない‥)

小さな声も肉声で客席の奥まで届ける俳優のセリフはいい、と素直に思った。