クリエ・ミュージカル・コレクション

ソチ・オリンピックも終わり一段落したと思ったら、二月も終わりそう。
今年に入って観た舞台や昨年後半のものなど、ぼちぼち更新していきたいと思っているところではありますが。。
とりあえず、まずこれ↓




『クリエ・ミュージカル・コレクション』

演出:山田和也
出演:石井一孝今拓哉涼風真世瀬奈じゅん、田代万里生、知念里奈中川晃教山口祐一郎 ほか
日時:2014年1月30日(木)14時〜
場所:アルモニーサンク北九州ソレイユホール



〜華麗なるきらきらミュージカル・ナンバー〜



「ミュージカル」とあるが、お芝居ではない。 “今まで東宝で上演された”ミュージカルの曲から選りすぐりのナンバーを集めたコンサートだ。(ところで東宝ではないミュージカルって、劇団四季や宝塚などでしょうか?不勉強で厳密にはわかりませんが)

出演者は錚々たる顔ぶれ。ここ数年来、できる範囲で鋭意追っかけ中の中川晃教も出演(!)。また山口祐一郎さんの舞台出演は久しぶりかも。確か昨年夏の“レ・ミゼラブル”では第一報で出演予定だったのが気づいた時には出ないことになっていたので。

そういうわけで、東京、大阪、名古屋の後、北九州公演、これは行かないわけにはいきません。

とても楽しみにしていた公演だったが、自分の気持ちをどう持っていくかちょっと考えたのも事実。コンサートなので、ミュージカルの“物語”の部分はなし。観たことのない舞台の曲が多いと思うけれど、歌を聴くだけで、その独特の世界に入っていけるのかどうか、と。

というのも、ミュージカルの曲は、普段耳にする音楽とは趣が違うから。日常的に耳に入ってくるJ−popや洋楽に比べて、朗々と歌い上げるというかドラマティックというか。私の基準ではどちらかというとクラシックに近い。

‥なんて、つらつら思っていたことは杞憂に終わりました。
ステージには中央部の小さな台をはさんで左右にずら〜っとオーケストラ。生楽器が美しく、激しく奏でられ、スターたちが入れ替わり立ち替わり歌を披露。アンサンブルキャストも揃っていてミュージカル舞台さながらのコーラスとダンス。贅沢だった。知っている曲は、ああ、これこれ!と思い、知らない曲も引き込まれた。会場の観客たちが好きな曲にじっと聴き入ったり拍手したりという雰囲気で盛り上がっていたのもあると思う。以下、晃教ファンの目から見たつぶやき‥。


アッキーこと中川晃教
ピアノ弾き語り ミュージカル モーツァルト!   SHIROH (K.Nakashima Selection)


彼のソロは3曲。「モーツァルト!」からは「僕こそ音楽」。思えば2005年11月に博多座で晃教・主演の「モーツァルト!」を観てしまったばっかりに心臓を打ち抜かれて、舞台熱にかかってしまったのだ。(‥もう8年も9年もたつのに熱が下がらないなんて。下がるどころか‥)この曲は音楽を作る喜びを歌ったもの。高い音が軽やかで、転調もあり意表をつくかんじで、何よりとっても明るい気持ちになれる曲。

ゲキシネでお馴染み「SHIROH」からは「まるちり〜握った拳に神は宿る」。“殉教だ、まるちりだ!”と拳を振り上げながら歌う曲。短調の日本的ロックで、彼のパンチの効いた歌唱が活きる。客席でも拳を振り上げながら聴いている一帯あり。

「時が来た」は「ジキル&ハイド」からの歌らしいのだが、晃教くんは演じたことはないもの。私もこの舞台は未見。バラードのようなゆっくりしたテンポの曲で、伸びやかな声でダイナミックに繊細に歌われていた。


星から降る金


モーツァルト!」といえば、いつ聴いてもなんだか涙が出そうになる曲がある。「星から降る金」。主人公のヴォルフガング・モーツァルトの理解者であるヴァルトシュテッテン男爵夫人(←何回聞いても覚えられない名前‥)の歌。なりたい自分になるため旅立ちなさいと励ます曲。この後ヴォルフガングは父の反対を押し切ってウィーンに旅立つ。曲の中に、子を愛するあまり塀を高く築き王子を城の中に留め続けようとする王が出てくる。それでも夫人は王子に“旅立て”と歌い“愛とは解き放つこと 愛とは離れてあげること”と続く。ゆったりしたメロディと、歌詞の内容と、物語が相俟って、実際の舞台を観た時もぐっときたし、CD聴いても瞼がしばしばしてくるし、この日も涼風真世の優しくも芯の強い歌唱でまた泣きそうになった。

この歌が、このコンサートで歌われるということは、この曲を好きな人は私以外も沢山いるんだと思った。


山口祐一郎氏も、健在でよかった。何年か前に観た「ダンス・オブ・ヴァンパイア」からの歌も何曲かあった。思い出した。どか〜んと迫力の存在で、でも胸の中に哀しいものを抱えているヴァンパイアを。http://d.hatena.ne.jp/chihiroro77/20091002/1254493622
ピアノ弾き語り 東宝ミュージカル ダンスオブヴァンパイア


初めて見るアーティストの中で目をひいたのは田代万里生。名前はよく見かけるのだけど歌は初めて聴いた。太くて響きのあるいい歌声だった。いつかミュージカルも観てみたい。


全員で歌われた曲もある。たとえば「RENT」の「Seasons of Love」 “Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes〜♪” と歌われるあの曲。


RENTは映画も舞台も残念ながら観たことないのだが、この曲は大好きなのでとても嬉しかった。ミュージカルをクラシック系と洋楽系とに勝手に二つに分けるとすると、これは洋楽系。晃教ファンの贔屓目(耳?)で聴くと、それぞれのスターたちの伸びやかな歌声の中で、中川晃教のリズムを刻むような歌声がアクセントになっていたかんじ。彼にはこういう曲が合っている。

歌、演奏、ダンス、衣裳、舞台装置、全て豪華だった。ちなみに男性陣の衣装は全員、基本は黒いスーツ。シックですっきりしていてよかった。
客席も満員だったし(ほとんど女性)、皆さんそれぞれのお目当ての人の歌を楽しみつつ、全体のパフォーマンスも堪能したんだと思う。私みたいに。