天龍一座がゆく

うちのテレビには「追いかけ再生」という機能があることに、つい最近気づいた。番組を録画しつつ、その番組を時間途中からでも初めから視聴できるという仕組みらしい。(つまり、朝8時から「べっぴんさん」を録画している場合、バタバタしていて今、8時7分、半端な時間だけど録画はそのまま継続させて、かつその時点で「追いかけ再生」を使って初めから見ることができるらしい)

そんな高機能なものは利用したことがないんだけど、「追いかけ再生」というコトバ、何となく気に入りまして‥

このブログも、レビューのタイムラグが1年以上開いたりしてはいますが「追いかけ再生」かな、なんて。時間は経っても視界からは消えないあれやこれ。

というわけで、昨年観た映画の感想を2,3アップします。
まずは、これ。昨年4月鑑賞。



『天龍一座がゆく』

ワン・ユィリン監督
2012年/台湾


〜台湾オペラの世界を覗ける一作〜


ある台湾オペラの一座「天龍歌劇団」を舞台に繰り広げられるお話。
台湾オペラとは、今も人気が高い大衆演劇なんだとか。

この映画から察するに、日本の大衆演劇のチャンバラの部分が京劇風の歴史物語で、歌謡ショーの部分は、あちら風の歌謡ショー‥そういう構成の演劇か。
主役の男役は女性が演じるのが伝統だそう。そこだけ“宝塚”風だけど、あとのキャストは性別の逆転はなし。


そんな、どこか懐かしいような“異文化”台湾オペラの世界を楽しみつつ、ドタバタ調で時々しんみりの温かいコメディ。


天龍歌劇団の花形男役(つまり女優)チュンムイが、公演間近にバイクとの接触事故で入院。バイクの男チーミーの顔が、チュンムイと似ていたため、彼を即席の花形男役に仕立て上げようとするが‥。
もちろん、てんやわんや。そんな中で、家族間の人間模様、劇団内の浮気がらみの人間関係、花形役者の心の葛藤なんかが、自然に描かれている。


主役のチュンムイを演じるクオ・チュンメイ(女優)は、実際の台湾オペラのスターだそう。バイクの男のチーミーと二役。普通のおじさん・チーミー役の時の彼女の演技にびっくり。

京劇の、あの銅鑼の音が、観終わった後もずっと頭の中で鳴り響いていた。