パレードの尻尾

11月20日(土) ソフトバンクホークス・リーグ優勝(!)パレード。
午後1時半 呉服町交差点出発。

リーグ優勝した時点で、クライマックスシリーズ(CS)の結果にかかわらずパレードが行われることは決まっていた。しかしその決定時に、CSで、まさかああいうふうに敗退するとは誰が予想しただろう。

でもまぁとにかく、パレード。めでたい。
11月というのに、ぽっかぽっかの陽気。コートを脱ぎ捨てたいほど。(実際、脱いだ)

この日のために、午後から休みをとっていた。‘一身上の都合により早引きします。’


過去2,3回は、早くから座り込んで、沿道前列のいいスポットをキープしていたんだけど、今回それは無理。けど、なんとか追いかけて行進の尻尾あたりにでも声援を送りたい、そういう気持ちだった。我ながらファンとはなんと有り難いものだろう、と思う。

が、しかるに、現実には、“尻尾”ではなくパレードの“とさか”あたりを、背伸びしたりかがんだりして人垣の隙間から見るのみ。
周りの声援に押されて自分の声は出ず、押しくらまんじゅう寸前。
つくづくファンとはなんと有り難いものだろう、とその圧力で実感。


お昼もそこそこにすませ、六本松に出てきたのが1時10分過ぎ。
そこから明治通りを目指し、とことこ歩いていく。途中、女性の集団や家族連れなど、やはり散歩のように歩いている人たち、目的地が同じかもというライバル心がおこる。気のせいかと思ったら、やはりみんな目指しているところが同じだった。嬉しかった。ヘリコプターもバタバタ飛び、ピピピっと交通規制の笛の音。

たどり着いたのは、パレード終了地点の大名交差点。
あ、ここで待ってみようかな。
終わりのところだから、選手全員が車から降りるところが見られるかも。
見物の列は、前から4、5列目くらいだけど案外見えそう。


ところが、そうは問屋が卸さなかった。実際、車が近付いてくると、前のお母さんが子どもを肩車するわ、座って待っていた人が立ち上がるわ、後ろからも人が迫ってくるわで、人口密度が2倍になった。

うわぁ、きゃあぁ、歓声のなか、オープンカー1台めに、選手会長のムネ(川粼選手)、秋山監督、シーズンMVPの和田投手が乗っていて手を振っている。
2台めには、王会長、杉内、あとは多村がちらり、小久保がちらり、もうよく見えない。

オープンカーの選手たちが車を降り、にこやかに見回し手を振る。近い。近いけど、ちらりちらり、人と人の隙間から。
うわぁ、きゃあぁ、ムネリ〜ン、すぎうち〜、老若男女の呼び声。

で、次の車は‥?
ええっ?3台め以降のオープンバスの選手たちは、終了地点手前の、この場所からみえないところで既に降りて、帰るためのバスに乗り込んでしまっている模様。
そんなぁ。全員が最後のラインまで行くべきでしょう。全員ゴールするべきでしょう。せめて馬原だけでも。


そう思いつつも、選手たちが乗り込んだ搬送用バス2台を幸せな気持ちで見送った。
これが、優勝のご褒美、ファンにとって欠かせないデザートなのだから。


祝祭の一日は、全ての信号が「赤」になり、車はストップ。みんなが、いそいそ歩いて、てくてく通りに向かう。
紙吹雪の中、晴れがましくオープンカーの行列は進む。
色づいた街路樹をかき分けて。
興奮と熱気があたりを包み込み、そうして潮が引いて日常が帰ってくる。


(文中、敬称略)


PS.ソフトバンクの“おとうさん犬”はちらりとも拝見できず。