2012年・笑いの系譜‥その2 舶来上等、どうでっか?

まだ去年の話ィ〜?? そうなんです。下書き途中のがまだいくつかありまして。すみません。ペコリ。
それにしても、侍ジャパン。‥‥エ〜ン。決勝目前で。



で。「笑いの系譜」といっても、何も系統だったことはありません。タイトルだから格好つけただけ。自分が笑いながら観た舞台群、という意味です。
2012年に観た喜劇と、コメディじゃないのに笑ってしまったもの、などなど。




『舶来上等、どうでっか?』吉本百年物語 6月公演〜


脚本:長川千佳子
演出:湊 裕美子 森上“Tomato”英樹
企画・製作・主催:吉本興業株式会社
出演:中川晃教 間 寛平 ほか
日時:2012年6月24日(日) 16時〜
場所:なんばグランド花月(大阪)



わざわざ大阪まで観に行ったから、笑わな損々、という気持ちが自分に働いたのかどうか。
ちょっとしたことでも可笑しくなる空気。


客席では男も女もわはは、笑う笑う。
2時間じゅう、笑い通しだった。

吉本興業創業100周年記念公演」として「吉本百年物語」が2012年4月から、月に一公演、月替わりで一年間上演されている。その2012年6月公演。林弘高とその兄・正之助が主人公。林弘高とは、吉本創業者の義理の弟であり、東京吉本の社長、また東映の前身である映画会社の社長も務めた人物、なんだそうだ。彼に中川晃教が扮し、実兄の正之助役が間寛平。兄は大阪吉本を率いている。

舞台は昭和2年。まだ20代の兄弟が力を合わせ、時にはライバル同士として、会社を、そして興行の世界を盛り上げていく、弟・弘高は日本初の本格レビュー公演に挑戦する、というようなあらすじ。


会場のなんばグランド花月は“よしもとの館”の一角というかんじ。演芸場は二階にある。いつも自分が行くお芝居は大半が女性客なのだが、ここは客層が違い男の人も多かった。舞台自体は、吉本新喜劇よりも演劇寄りで、歌も数曲あるのでミュージカル的でもあるという印象。ギターとヴァイオリンのコンビの生演奏もあり。


大袈裟でなくても特別におかしいことでなくても、間や言い方で笑いを誘う。
笑おうという自然な構えがホール内に充満しているのか。だからちょっとツボをくすぐられるとすぐ爆笑。
間寛平扮する兄が「ぜったいに満席にしたるで〜。ゼッタイに満席にし・た・る・で〜」と声を変えて何回か繰り返す場面があり、ちょっとふざけて変な声で言う、ただそれだけなのに、会場中大受け、お腹を抱えて笑ってしまった。今回、彼はお笑いを封印するという噂もあったが、どうしてどうして。全開。間のとり方がこなれていて、アドリブなんだろうけど事務員役の吉田さん(川畑泰史)と延々とかけ合いになり涙出そうに笑った。ただ暴走まではいかずお芝居をこわさないのはさすが。


その脱線を中川晃教扮する弟がどうにかして本筋に戻そうと必死。彼自身、唇を噛んで笑いをこらえていた。
大阪弁が初々しい晃教くん。そしてやっぱり彼の歌声はいい。パンチのある曲も柔らかい曲も。
ラインダンスをやるような白い階段の真ん中で歌ったのびやかな声がホール中に響いていた。

また踊り子・お糸役の林明日香の歌も素晴らしかったし、お茶子のお黒さん役の隅田美保は達者で元気溌剌。夢の中でレオタード姿になる場面、すら〜っとしたスタイルだった。


こういう笑いというのは、その場の雰囲気で湧きあがっていると思う。(だから後から録画などを見たらまた印象が変わってくるかも)
芸人と呼ばれる人たちはその日の空気をつかむ、或いは作るのに長けているのだと思った。
アドリブは一歩間違うとくどくなりつらい。(以前見た真面目なお芝居で経験あり) その点、この舞台ではベテランのさじ加減だった。


暗転が多いのがちょっと気になったが、でも大笑いしたので帳消しだった。


百年分の“社史”をエンターテインメントの舞台にしてしまう。よしもとの底力か。笑ってすっきり。