サメと泳ぐ

今週のお題「下書き供養」

 

今週のお題:下書き放出!”とあり、クリックしてみたら「下書き供養」と出てきました。

渡りに船‥と言いたいところだけど、”今週"って、いつまでだろう??

下書き、2~3つありそうな気がするけど、唐突ですが、2年半前の観劇感想です。すみません。

 

 


『サメと泳ぐ』    

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原作:ジョージ・ホアン

上演台本:マイケル・レスリー

演出:千葉哲也

翻訳:徐賀世子

 

出演:田中哲司田中圭野波麻帆/石田佳央、伊藤公一、小山あずさ/千葉哲也

 

日時:2018年9月20日(木) 18時半〜
会場:ももちパレス 大ホール(福岡)

 

 

~セリフ、セリフのパワーゲーム~

 

 

息詰まるセリフの応酬だった。

 

何となく面白そうというぐらいの気持ちでチケットを買ったが、発売の後で田中圭の人気が沸騰(ドラマ「おっさんずラブ」から大ブレイク)、プラチナチケットとなってしまった。

 

旬な役者が登場する舞台という興味も加わり観劇。

が。

エグい展開、狂気すれすれの描写に客席でビクビク。恐いよ~。

こんなに恐いと知っていたら、チケットは買わなかったと思う。

(が。逆に考えたら、よく知らなかったからこそ、敬遠しがちな種類の舞台を観ることができたのかも。)

 

ハリウッドの映画製作会社が舞台。

大物映画プロデューサーのバディ(田中哲司)のもとに、アシスタントとして脚本家志望のガイ(田中圭)がやって来る。バディのアシスタントは皆、出世すると言われているが、彼は人使いが荒い‥いや、“荒い”というレベルを超えている。目に余る、理不尽な“パワハラ”。

 

 ここで、もう一人の主要人物が登場。フリーのプロデューサーのドーン(野波麻帆)。新作を売り込みにやって来たのだ。ロングヘアにスーツで、上昇志向強そう。魅力的な彼女とガイは、ぶつかり合いながらも恋人関係になる。

 

 バディの上司にあたるのが、サイラス(千葉哲也)。彼がもたらす業界情報、社内情報に競争心を更に煽られたバディは、ドーンが持ち込んだ企画を、無断で改変し利用することを思いついて、ガイにこの企みに乗るように持ちかけるが‥。

 

舞台上には中央に階段がある。階段上の2階スペースには机と椅子。1階スペースの右側と左側にも机と椅子。左の奥の方は4,5段上がったようなところにソファとテーブル。

舞台装置は大きく転換するということはなく、場面によってちょっとした配置換えをしたり、そのシーンの話が進んでいる舞台上のその部分が照明で照らされていたりなど。それだけで、映画会社の事務所、バー(だったか、レストランだったか?)、ドーンの部屋(え~っと、ガイの部屋だったかも?)などが、自然に場面転換されていた。(美術:石原敬

 

上演時間は、一幕目が1時間半。休憩が15分入り、二幕目が、確か1時間くらい。

 

バディに、すっかりやり込められたガイが、ついにキレて思わぬ“逆襲”に出るのが二幕目。

 

バディ役田中哲司は、やり手の大物プロデューサーの嫌らしさと胡散臭さ、狡猾さがほとばしっていて、ヤなかんじがさすがだった。

 

ガイ役の田中圭は、業界での成功を夢見る好青年として登場するが、バディによる“弾圧”に耐えかねて“反撃”。狂気なのか正気なのか、大仰ではなく、どちらかというと淡々と‥。二幕目は恐かった。

 

セリフ量は多い。

ちょっとした一言で、ビジネスのパワーバランスが揺らいだり、男女関係の駆け引きが左右されたり、ひりひりする。

 

チラシには「映画「SWIMMING WITH SHARKS」(94年/邦題「ザ・プロデューサー」)を元に舞台化、07年にロンドン・ウェストエンドで上演された本作。」とある。元はアメリカ映画だったそう。

 

ビビりながらも最後まで集中して観られたのは、それだけ力を持っている舞台だったからだと思う。結末に納得できるか否かは措いておくとして、人間の本能というか本質というかを剥き出しにして、あそこまで振り切ってしまわれると、呆気にとられて、大きな台風が過ぎ去ったような読後感‥いや、観劇後感(?)だった。

 

 

追伸

 

この舞台を観ていて、思い出した劇がある。

共通点は。

☆ 大量のセリフのやり取りで、バランスがふらふらと変化する。

☆ どちらにも千葉哲也が出ている。

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『TOPDOG/UNDERDOG』        

 

作: スーザン=ロリ・パークス
翻訳・演出: 小川絵梨子
出演: 堤真一千葉哲也

2013年1月13日(日) @西鉄ホール

 

アメリカの貧しい兄弟の二人劇。お兄ちゃん(千葉哲也)と弟(堤真一)の意地の張り合いやじゃれ合いが笑いを誘うが、やがて、そのやり取りがふとしたはずみにバランスを崩し、観ている方は息をひそめて、はらはら‥。

アメリカもの”と一括りにはできないものの、セリフの多さはお国柄のような気も。