2012年・笑いの系譜‥その3 裸でスキップ

去年2012年に笑いながら観た舞台、第3弾。



『裸でスキップ』 劇団マニアック先生シアター

脚本:鈴木聡
演出:山口ミチロ
日時:2012年11月24日(土) 19時〜 場所:ぽんプラザホール




笑ったものといえば、これも。
地元の劇団の公演。演目に関しては何の予備知識もなく観に行った。


全4幕のうち、1幕めは初対面の探りを入れつつ過ぎ、2幕めあたりから事の次第が呑み込めてきて、そこからあとは笑いながらみた。


舞台は、ある木工家具店の談話室。‥職場の休憩室で、来客があればそこに通したりする場所。
売れっ子家具デザイナー・佳代子(押淵絢子)と面白みのない性格を自認する公務員・修司(村井善幸)。偶然知り合った二人は、アルコールの勢いでつきあい始めて愉快な展開になる。そのいきさつが一つ大きな流れであり、また、不況でのっぴきならない状態に追い込まれる家具店、その従業員たちの群像劇の側面もある。状況は深刻なのに、可笑しい騒動が繰り広げられるのがミソだ。


公演のリーフレットには、劇団代表(山口ミチロ)からの挨拶の文章があった。鈴木聡の作品を上演するのは2度目だが、今回も前回同様、模倣だと言われることを恐れずに、良い作品を良い状態で観客に伝えることを最も心がけた、という旨が綴られていた。
その短い文章から、オリジナル作品か、既製の脚本か、またそれをどう演じるか、作り手の様々な選択や葛藤が垣間見える気がする。


元祖を知らないのだけれど、同じ役でも演じる人が変わると印象が違うことはよくあるし、これはこれでオリジナルの「裸でスキップ」なのでは、と勝手に推測。それぐらい観終わったあとスカっとしたので。(挨拶文には「全てを模倣するなんて不可能ですし、そこに僕らのフレーバーは確かに存在します。」とも述べられている。)


女たちは溌剌とはじけていて、男たちは情けなかったり、意地をはったり。
全員が個性あふれる役柄を生き生きと演じていた。
舞台以外の場面、つまり、談話室以外での場所〜寮の部屋や、1階ホール(だったっけ?)など〜で起こっている話もとても重要で、それは観客からは見えず登場人物の会話から想像が広がるのだけれど、それも臨場感びんびんで伝わってきた。

そして、最後の最後にタイトルの意味がわかる。
辛い世の中が身につまされる。でも、ばか騒ぎで笑い飛ばす。
上質で後味のいいコメディだと思った。
(追いつめられた時には“裸でスキップ”と唱えたらいいかも‥?)


鈴木聡の作品を観たのも初めてで、彼が主宰する劇団ラッパ屋のお芝居も、いつもチラシを見て惹かれてはいたが未見。いつか見てみたい。