2012年・笑いの系譜‥その1 菊次郎とさき

まだ去年の話ィ〜?? そうなんです。ペコリ。
「系譜」といっても、何も系統だったことはありません。タイトルだから格好つけただけ。自分が笑いながら観た舞台群、という意味です。
2012年に観た喜劇と、コメディじゃないのに笑ってしまったもの、などなど。



菊次郎とさき

原作:ビートたけし
脚本:輿水泰弘  演出:石橋冠
製作:東宝
出演:陣内孝則室井滋 ほか
日時:2012年4月23日(月) 16時〜
場所:博多座



ビートたけしの父・菊次郎(陣内孝則)と母・さき(室井滋)のお話。ありがちな下町人情物かなと、実はあまり期待していなかったけれど、よくできていた。 笑って笑ってほろりとするように誘導され、素直にその通りになる私。
出演者全員上手だし、テンポよく飽きさせない展開だし。


また劇場の力というのも感じた。地下鉄や町なかで見かける公演のポスター、日常生活でそれを目にする時は、明らかな作り物をどこか冷めた気持ちで見ている気がする。だが実際に博多座に足を踏み入れ舞台を目の当たりにすると、駅で見たポスターと同じモノのはずなのに命を吹き込まれた生き生きとした世界がそこにあり、“なんか可笑しい”と笑う準備が知らずにできているのだ。異空間のマジックというべきか。

花道あり。舞台の床下(?)から人(着物姿の音無美紀子)がにゅ〜っと現われる場面もあり。幕が下りている場面転換の時は、濱田マリほか出演者何人かが前に出て来て軽やかに歌ったり踊ったりもしてびっくり。俳優さんは何でもできるんだなと。
舞台上が北野家の部屋のセットで、屋根のあたりは道になっているつくりの時は、下の部屋の部分は照明を落とし暗転、上部の道でお芝居が展開というシーンもあり、舞台装置も凝っていた。

室井滋は娘時代から老年期まで演じ分け、歌も披露し芸達者ぶりを発揮。


私の後ろの席に座っている女性たちが「面白かったね」「やっぱり、こういうのがいいよね」と口々に言っているのが聞こえた。帰りのバス停でも、「もしもし〜今、終わった。面白かったー」と携帯電話に向かって大声で話しているおばちゃんもいた。(‥という私もおばチャンですが。女子気取りだが)
恐るべし。東宝・芸能パワー。